納税者勝訴率と納税者救済制度

Posted on 07/12/2015 by Koji Takahashi

平成23年11月に国会において成立、12月に施行された「税務調査手続の法定化等」以後、納税者の救済や主張認容の割合はどのような変化をみせたのでしょうか。

1.全体

この程国税庁・国税不服審判所から公表された平成26年度の異議申立て・審査請求・訴訟の状況によりますと、納税者の主張を何らかの形で認容した割合は異議9.3%(微減)、審査8.0%(微増)、訴訟6.8%(微減)となっています。

2.異議申立て(対処分庁)

税務署長に、処分の通知を受けた日の翌日から2ヵ月以内に「異議申立て」ができます。税務署長は、その処分が正しかったかどうかを改めて見直しを行い、その結果(異議決定)を納税者に通知します。発生件数は2755件で前年比16.8%の増加となりました。増加原因は復興税に係る分野です。

3.審査請求(対国税不服審判所)

異議決定後なお処分に不服がある時は、異議決定通知の日の翌日から1ヵ月以内に国税不服審判所長に「審査請求」をすることができます。所長は納税者の不服の内容を審査し、その結果(裁決)を納税者に通知します。この裁決は、納税者に対して不利益となる変更はなされません。発生件数は2030件、前年比28.9%減少で、その原因は、ここ数年にわたる大型の輸入消費税事案がひと段落したためとされています。

4.訴訟(対裁判所)

国税不服審判所長の裁決を受けた後、なお処分に不服がある時には、その通知を受けた日の翌日から6ヵ月以内に裁判所に訴訟を提起することができます。今回の発表では、前年度比18.3%減の237件となっていますが、平成元年以降では最小の件数となっています。その原因は、全ての税目及び審判所関係に係る事件の減少によるものと分析しています。