立替経費及び報酬等に係る消費税に対する源泉所得税

Posted on 17/08/2012 by Koji Takahashi

 

  役務の提供に対する請求を行う場合、役務提供側が立替えた交通費などの実費分の諸経費、また請求する報酬に課せられる消費税について、源泉所得税の計算はどうすべきか良く質問があるところです。税務調査では、比較的指摘しやすい部分でもあります。クライアントへ訪問した際に目にする請求書には様々な方法で源泉所得税が計算されています。立替経費、消費税を含めた全額をベースにしたもの、報酬金額そのものだけをベースにしたもの、また立替経費を除く金額をベースにしたものなど、大体この3ケースに分かれると思います。源泉所得税の徴収義務は支払側にありますので、源泉所得税を徴収漏れすると最終的には支払側に納税義務が発生しますし、過去のこととなると今後のクライアントとの関係から税務調査で指摘された分の源泉所得税を徴収しなおすというのは中々、難しいところと思いますので正しく源泉所得税を徴収しておきたいところです。所得税基本通達では概ね次のように定められています。

 報酬・料金又は契約金は、たとえ謝礼、賞金、研究費、取材費、材料費、車賃、記念品代、酒こう料等の名義で支払われても、それぞれの報酬・料金等として源泉徴収をする必要があります(所基通204-2)。しかし、1、2、4及び5の表に掲げる報酬・料金の支払者が、これらの報酬・料金の支払の基因となる役務を提供する人のその役務を提供するために行う旅行、宿泊等の費用を負担する場合に、その費用として支出する金銭等が、その役務を提供する人に対して交付されるものではなく、その支払者から交通機関、ホテル、旅館等に直接支払われ、かつ、その金額がその費用として通常必要であると認められる範囲内のものであるときは、源泉徴収をしなくて差し支えありません(所基通204-4)。

(注)

1 報酬・料金等の金額の中に消費税及び地方消費税の額が含まれている場合であっても、消費税及び地方消費税の額を含めた金額が源泉徴収の対象となる報酬・料金等の金額となります。ただし、報酬・料金等の支払を受ける者からの請求書等において報酬・料金等の額と消費税及び地方消費税の額とが明確に区分されている場合には、その報酬・料金等の額のみを源泉徴収の対象とする金額として差し支えありません(平元直法6-1、平9課法8-1改正)。

2 報酬・料金等の支払を受ける者が、内国法人(人格のない社団等を含みます。)であるか居住者であるかによって、源泉徴収の対象となる所得が異なりますが、官庁等の部、課、係、研究会又は劇団若しくは楽団等の名称のものであって、居住者又は人格のない社団等のいずれに該当するかが明らかでない場合には、その支払を受ける者が次のいずれかに掲げるような事実を挙げて人格のない社団等であることを立証した場合を除き、その者を居住者として取り扱うことになります(所基通204-1)。

(1) 法人税を納付する義務があること。

(2) 定款、規約又は日常の活動状況からみて個人の単なる集合体ではなく団体として独立して存在していること。

 
  結論は、報酬等に対する消費税については原則、源泉所得税が課されるものの、請求書上、明確に分かれていれば消費税は除いて源泉税を課して良いということなり、立替経費については、原則、立替経費を含めて源泉所得税を課しますが、支払側が報酬等とは別途に直接、当該立替経費の精算をしている場合は源泉税を課さなくて良いということになります。経費部分を支払側が直接精算している場合は、そもそも立替経費ではありませんので、立替経費が発生した場合は必ず源泉税がそれに課せられるということになります。

 

By CPA & Tax Accountant, Koji Takahashi,
Tokyo & Yokohama