相続税課税割合が上昇  ~8.5%に~

Posted on 11/05/2020 by Koji Takahashi

基礎控除額が6割に下げられた改正から4年がたち、令和元年10月末日提出分における相続税の課税割合が8.5%にまで上昇したことが、国税庁により発表されました。今回はこの件について検討してみたいと思います。

1.割合の実績

平成26年分には4.4%であった課税割合は、基礎控除引下げの改正後の平成27年分は8.0%に倍増し、その後も28年分が8.1%、29年分が8.3%、そして今回30年分は8.5%となりました。この割合は、全国レベルの実績ですので、都市部の割合増加はさらに著者となっています。

2.特記事項

課税価格1億円以上の申告割合がかなり増加した点が大きな特色です。この層の実績は、改正前の平成26年分は約3万件で全体の40%程度だったのですが、平成27年分は8万8千件で全体の66%となりました。

さらに今回平成30年分は平成27年分より1万2千件増加となり、初めて10万件を突破して申告数全体の67%となっています。

3.相続税調査

前項の状況下、国税当局として、相続税申告が予測される人への簡易な接触「お尋ね・書面依頼」や、無申告事案についての実地調査を強化した結果、全体では、申告漏れ課税価格は1千億円を超えて、1,148億円となりました。そのなかでも無申告に対する実地調査の70%強が課税価格1億円以下の層が占める結果となっています。

ジャンル別では、「簡易な接触」による申告漏れ1件当たりの課税価格実績は428万円となり、「無申告」による同実績は8,320万円、「海外資産」に係わる同実績は4,064万円という結果が報告されています。

特に「海外資産」に係わる把握については、租税条約に基づく情報交換制度と共に共通報告基準に基づく非居住者金融口座情報が活用され始めています。