異議がみとめられるのは約1割!

Posted on 02/11/2022 by Koji Takahashi

 国税当局の課税処分に対して異議申し立ての手段である再調査請求、審査請求、国税訴訟の各手続きによって納税者の訴えが一部でも認められる割合は、1割強に留まるという最新のデータを、国税庁は公開しました。

(1)納税者が異議申し立てをする手段と段階
 税務署や国税局の課税処分に対して、納税者は何等かの不満がある場合、異議を申し立てて処分の変更や取り消しを求めることができます。その手続きは三段階に分かれています。第一段階は、処分に不満のある納税者が税務署や国税庁に対して「再調査の請求」をします。そして、再調査の結果に不満がある場合は、第二段階として「国税不服裁判所への審査請求」へと進みます。そして、最後に、最終段階として審判所でも処分が覆らなかった場合に、納税者が最後にとる手段が裁判所への「訴訟」です。当然ながら裁判には多くの費用と時間がかかります。
 また、各々の段階には、期限等があります。

(2)課税処分が覆る可能性は極めて低い
 国税庁が公開した最新データによると2021年度に処理された再調査請求は1,198件ありました。そのうち納税者側の主張が認められたのは83件と、6.9%にとどまりました。
 続いて、第二段階の「国税不服審判所」への審査請求は2,458件発生し、2,282件が処理されました。そのうち納税者の主張が認められたのは297件で約13%と、国税訴訟よりやや高いものの、容認割合はここ4年間では10%前半となっています。また、16年の制度改正により、再調査請求を経ないで直接の申し立ての件数は急増したものの、徐々に再び減少傾向にあります。
 そして、最終段階である国税訴訟は2021年度には187件発生している一方で、終結した訴訟は199件ありました。そのうち一部勝訴は6件、全面勝訴は7件と、司法の場で納税者の主張が認められたのは6.5%にとどまっています。