法人税における租税特別措置の適用実態調査

Posted on 30/05/2022 by Koji Takahashi

法人税の確定申告書に添付が義務づけられている「適用額明細書」から租税特別措置法の、どの特例が多く利用されたかの調査結果が国会に提出されました。

1.「適用額明細書」とは
この明細書の提出は、平成22年度改正で制定された租税透明化法がその根拠で、産業政策のため税負担を軽減する租税特別措置法の規定が義務づけられています。ある特定の業界への実は隠れた補助金になっていないかをチェックする役割もあります。また一方で、この調査結果が今後の税制改正の方向性に影響を与えます。

2.調査概要
令和2年度の法人申告分の集計で、一番は800万円以下の所得金額に対する軽減税率(本則19%)の適用で、992,154件、金額は3兆9,175億円となっています。

3.適用件数が少ない例
沖縄の観光地形成促進地域で工業用機械等を取得した場合の法人税額の特別控除は1件、国家戦略特別区域で機械等を取得した場合の特別償却、同区域で機械等を取得した場合の法人税額の特別控除がそれぞれ0件となっています。

4.適用件数が目立った点
次に目立ったのは中小企業者等の少額減価償却資産取得価額の損金算入の特例で、64万3.069件で適用額は3,607億円でした。次に中小企業者等が機械等を取得した場合の特別償却が2万3千件弱、同制度の法人税額の特別償却が2万6千件強となっています。

5.留意点
令和2年度にこの明細書を提出した法人数は136万9,793法人で、適用件数は延べ209万758件です。適用法人数、適用件数ともに資本金が少ない法人ほど多く、資本金1千万円以下の法人が、適用法人数で全体の84%、適用件数で全体の81%を占めています。