永年勤続記念品等と創業記念品等

Posted on 22/11/2017 by Koji Takahashi

1.福利厚生施策による経済的利益

福利厚生施策により役員や使用人が受ける経済的利益については、一定の範囲で課税しなくて差し支えないとする取扱いがありますが、ここではその中から永年勤続記念品等と創業記念品等について確認しましょう。

2.永年勤続記念品等

永年勤続者の表彰にともない記念品等を支給する場合の経済的利益については、「使用者が永年勤続した役員又は使用人の表彰に当たり、その記念として旅行、観劇等に招待し、又は記念品を支給することによりその役員又は使用人が受ける利益で、次に掲げるいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない」とされています。

① その利益の額が、その役員又は使用人の勤続期間等に照らし、社会通念上相当と認められること

②その表彰が、おおむね10年以上の勤続年数の者を対象とし、かつ、2回以上表彰を受ける者については、おおむね5年以上の間隔をおいて行われるものであること

3.現金・旅行券支給の場合

記念品に代えて現金を支給する場合には、所得税の課税対象となり、源泉徴収も必要となります。現金そのものではなくても、商品券などは現金と同様に取り扱われることになりますので、旅行券の場合についても、何ら条件も付けずにただ旅行券を支給する場合には、商品券に準じて課税対象となると考えられます。

しかしながら、旅行にのみ使用することを前提として、次のように支給した旅行券の使用状況をきちんと管理している場合には、原則として課税されないこととされています。

① 旅行の実施は、旅行券支給後1年以内とする。

② 旅行券を使用して、旅行を実施した場合には、所定の報告書に一定の事項(旅行日・旅行先・旅行会社等への支払額等)を記載して、これに旅行先等を確認できる資料を添付して報告させる。

③ 1年以内に旅行券を使用しなかった場合には返還させる。

4. 創業記念品等

会社が創業記念品等を支給する場合の経済的利益については、「役員又は使用人に対し創業記念、増資記念、工事完成記念または合併記念等に際し、その記念として支給する記念品で、次のいずれにも該当するものについては、課税しなくて差し支えない」とされています。

① その支給する記念品が社会通念上記念品としてふさわしいものであり、かつ、そのものの処分見込額が1万円以下のものであること

②創業〇周年記念のように一定期間ごとに到来するものについては、創業後おおむね5年以上の期間ごとであること

5.処分見込額の判定

課税の有無は、その記念品が、明らかに社会通念上記念品としてふさわしくないような場合を除いて、一般的には、記念品の処分見込額によって、判定することになります。

なお、処分見込額が1万円以下であるかどうかの判定に当たっては、消費税抜きの金額を用いることとされています。