民法の120年ぶりの大改正 ~そのポイントを考える~

Posted on 08/11/2017 by Koji Takahashi

5月参議院本会議で改正民法が120年ぶりに可決成立しました。主に消費者の保護と権利拡大を図る改正なので、これまでの商習慣を大きく変える見直しがあり、中小企業や個人事業者の実務に与える影響は幅広いものがあります。

1.連帯保証制度の厳格化

① 事業目的の融資で配偶者や自己の会社の役員以外の者を連帯保証人とするケースでは、公証人と直接会って、保証の意思確認をしてもらわなければならなくなりました。

② 保証の契約時には、自己の会社の財務状況を保証人に対して説明することが義務付けられることになります。内容に虚偽説明等があるケースでは、保証人は後からでも契約を取り消せます。さらに財務状況の情報提供は、連帯保証人から請求があれば、いつでもその内容を知らせなければなりません。

③ さらに個人の連帯保証人を付けるケースでは、連帯保証を負った時に保証する限度額を設定することも義務化されます。

これら①~③は保証人の手厚い保護にはなりますが、逆に中小法人などの事業者が連帯保証人を今までより付けにくくなることも確実です。

2.約款の見直し

① 消費者が約款に同意していたとしても、その内容が利用者にとって一方的に不利益となるようなものであれば契約は無効となります。

② 約款後に事業者の判断で約款を変更することができるのは、消費者の利益になる場合に限ります。

3.「消滅時効」の統一化

これまでの消滅時効は、飲食代等は1年間、商品代や報酬等なら2年間、医師の診療報酬は3年間など取引の種類によって複数ありました。この煩雑さを解消するするため、原則次の二つの期間を併用する制度となります。① 請求権があると知ったときから5年間、② 請求権があると知らなかったときは請求できるようになってから10年間。

改正範囲は広いので是非再確認して下さい。