文書回答手続き

Posted on 11/06/2018 by Koji Takahashi

1.事前照会に対する文書回答制度

納税者は、申告期限等の前に具体的な取引等に係る税務上の取扱いに関して、国税庁に対して、事前照会(文書による回答を求める旨の申出)をすることができます。

この制度は、納税者からの事前照会に対して、国税庁が、一定の要件の下に文書により回答するとともに、他の納税者の予測可能性の向上に役立てるため、その照会及び回答の内容等を公表するものです。

2.対象となる事前照会の範囲

事前照会者が、自ら実際に行った取引等又は将来行う予定の取引等で個別具体的な資料の提出が可能なものについての国税に関する法令の解釈・適用その他の税務上の取扱いに関する事前照会であって、これまでに法令解釈通達などにより、その取扱いが明らかにされていないもので、次の(1)及び(2)に該当するものが対象となります。

(1) 取引等に係る国税の申告期限前(源泉徴収等の場合は納期限前)の事前照会であること

(2) 次の点に同意すること

① 審査に必要な資料の提出

② 照会内容及び回答内容の公表(関係者の同意を得ることを含む)

③ 照会内容等の公表等に伴って発生した不利益や問題については、事前照会者の責任において、関係者間で解決

なお、事前照会者から申出がない限り、事前照会者名は公表されません。

3.文書回答手続の対象とならないもの

次に掲げるものについては、文書回答手続の対象にはなりません。

(1) 照会の前提となる事実関係について選択肢があるもの

(2) 調査等の手続、徴収手続、酒類等の製造免許等又は酒類行政に関係するもの

(3) 個々の財産の評価や取引等価額の算定・妥当性の判断に関するもの(例えば、法人税法上の役員の過大報酬等の判定や個々の相続財産の評価に関するものなど)

(4) 取引等の主要な目的が国税の軽減等であるものや通常の経済取引等としては不合理であると認められるもの

(5) 提出された資料だけでは事実関係の判断ができず、実地確認や関係者への照会等による事実関係の認定を必要とするもの

4.文書回答

文書回答が行われるかどうかについては、国税局等の審査の結果によりますので、文書回答の対象とならない場合もあります。事前照会の対象となった取引等に係る国税の申告期限等が経過した場合には、回答は行われません。

文書回答については、照会文書に記載された事前照会者の見解に対して、「貴見のとおりで差し支えありません。」又は「貴見のとおり取り扱われるとは限りません。」という形式で行われます。

5.文書回答の公表

文書回答が行われる場合には、照会内容及び回答内容が、原則として回答後2ヵ月以内に公表されることになります。