振り込め詐欺等は対象外・・・ 雑損控除の改正

Posted on 23/10/2014 by Koji Takahashi

1.雑損控除
個人が、本人または本人と生計を一にする配偶者その他の親族の有する資産について、災害、盗難、横領によって損害を受けた場合やその災害、盗難、横領に関連してやむを得ない支出(災害関連支出)をした場合には、その年の所得の金額から一定の金額を控除することができ、これを雑損控除といいます。
なお、雑損控除は災害、盗難、横領に限定されていますので、詐欺による損失については対象となりません。
2.対象外資産
生活に通常必要でない資産は、雑損控除の対象から除かれています。
生活に通常必要でない資産とは、①競走馬その他射こう的行為の手段となる動産、②通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽または保養の用に供する目的で所有するもの、その他主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産、③生活の用に供する貴金属、書画、こっとうなどの動産で一個または一組の価額は30万円を超えるもの、をいいます。
3.控除額
雑損控除として所得金額から控除することができる金額は、次のうちいずれか多い方の金額となります。
①損失金額(損害金額 + 災害関連支出 – 保険金などにより補てんされる金額) – 総所得金額等 × 10%
②損失金額のうち災害関連支出の金額 – 5万円
ここで、損害金額とは、損害を受けた時の直前におけるその資産の価額(時価)を基にして計算した損害の金額です。
また、災害関連支出の金額には、災害により滅失した住宅、家財などを取壊したり除去したりするために支出した金額などが含まれます。
4.対象資産の範囲に関する改正点
雑損控除の対象とならない生活に通常必要でない資産の範囲に、主として趣味、娯楽、保養または鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権等)が加えられました。
5.損害金額の計算に関する改正
資産について受けた損失の金額は、その資産が家屋等の使用または期間の経過により減価するもの(減価償却資産)である場合には、次に揚げる金額のいずれかを基礎として計算することとされました。
①その損失の生じた時の直前における資産の価額(簿価)
②その損失の生じた日にその資産の譲渡があったものとみなして譲渡所得の金額の計算をしたときにその資産の取得費とされる金額(簿価)
なお、上記①と②の選択は、個々の資産ごとに行うことができますので、複数の資産が対象となる場合には、一方の資産は①により計算し、もう一方の資産は②により計算することができます。
6.適用関係
これらの改正は、平成26年4月1日以後の災害、盗難、横領により生ずる損失の金額について適用されます。