扶養義務者(父母や祖父母)からの生活費や教育費の贈与

Posted on 07/04/2014 by Koji Takahashi

1.扶養義務者相互間の贈与

扶養義務者相互間において、生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち、「通常必要と認められるもの」については、贈与税の課税対象とはなりません。

2.扶養義務者

扶養義務者とは、①配偶者、②直系血族および兄弟姉妹、③家庭裁判所の審判を受けて扶養義務者となった三親等内の親族、④三親等内の親族で生計を一にする者をいい、贈与の時の状況によって、扶養義務者に該当するかどうか判断することになります。

3.生活費または教育費

生活費とは、その者の通常の日常生活を営むのに必要な教育費以外の費用をいい、治療費や養育費その他これらに準ずるものを含みます。

これらに準ずるものとしては、出産に要する費用で、検査・往診代、分娩・入院費に充てるための贈与、新生児のための寝具、産着等ベビー用品の購入費に充てるための贈与などが該当することになります。

また、教育費とは、被扶養者の教育上通常必要と認められる学資、教材費、文具費等をいい、対象は義務教育に限定されるものではありません。

4.通常必要と認められるもの

生活費または教育費に充てるために贈与を受けた財産のうち、贈与税の課税対象とならない「通常必要と認められるもの」とは、贈与を受けた者(被扶養者)の需要と贈与をした者(扶養者)の資力その他一切の事情を勘案して、社会通念上適当と認められる範囲の財産をいいます。

5.一括贈与の取扱い

贈与税の課税対象とならないためには、生活費または教育費として必要な都度、直接これらの用に充てるために贈与を受けることが必要です。数年間分の生活費または教育費を一括して贈与を受けたような場合には、その財産が生活費または教育費に充てずに預貯金とされたり、株式や家屋の購入費用に充てたりされたときには、その生活費または教育費に充てられなかった部分については、贈与税の課税対象となります。

なお、教育費については、別途、直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置が設けられています。

6.結婚式や披露宴費用

結婚式や披露宴の費用については、必ずしも新郎・新婦が負担すべきものではなく、その親(両家)が負担する場合もあります。その結婚式や披露宴の内容、招待客との関係や人数、地域の慣習などの事情に応じて、本来費用を負担すべき者それぞれが、その費用を分担している場合には、そもそも贈与に当たらないことから、贈与税の課税対象とはなりません。

また、婚姻に当たって、子が親から婚姻後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の通常の日常生活を営むのに必要な家具什器等の贈与を受けた場合、またはそれらの購入費用に充てるために金銭の贈与を受け、その全額を家具什器等の購入費用に充てた場合等には、贈与税の課税対象とはなりません。