所得拡大促進税制の拡充

Posted on 12/02/2014 by Koji Takahashi

1.民間投資活性化等のための税制改正大綱

平成25年度税制改正で創設された所得拡大促進税制(雇用者給与等支給額が増加した場合の税額控除)について、平成25年10月に公表された与党の「民間投資活性化等のための税制改正大綱」により、民間投資の活性化を含む「三本の矢」の成果が所得の拡大という形などで広く国民に享受されることが、重要であるとして、さらに拡充されることになりました。

法律改正は、平成26年度税制改正により行われることになりますが、ここでは税制改正大綱の内容を確認していきます。

2.所得拡大促進税制

所得拡大促進税制は、企業が従業員の給与等支給額を増加させた場合、雇用者給与等支給増加額の10%の税額控除を行うものです。

ただし、その事業年度の法人税額の10%(中小企業者等は20%)が上限となります。

また、雇用促進税制(雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)の適用を受ける事業年度については、所得拡大促進税制の適用を受けることはできません。

3.雇用者給与等支給増加割合要件

現行は5%以上とされている雇用者給与等支給増加割合要件について、適用年度の区分に応じて、次のとおりとされます。

①平成27年4月1日前に開始する適用年度-2%以上

②平成27年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する適用年度-3%以上

③平成28年4月1日から平成30年3月31日までの間に開始する適用年度-5%以上

なお、雇用者給与等支給増加割合とは、雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合をいいます。

4.平均給与等支給額要件

現行は国内雇用者に対する給与等の計算の基礎としている平均給与等支給額要件について、継続雇用者に対する給与等を計算の基礎とすることとされます。

継続雇用者に対する給与等とは、国内雇用者に対する給与等のうち、雇用保険法の一般被保険者に対する給与等をいいますが、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の継続雇用制度に基づき雇用される者に対する給与等は除かれます。

また、現行は平均給与等支給額が比較平均給与等支給額以上であることが要件とされていますが、平均給与等支給額が比較平均給与等支給額を上回ることが要件とされます。

なお、平均給与等支給額とは、適用年度の給与等支給額を給与等支給者数(適用年度における給与等月別支給対象者の数を合計した数)で除して計算した金額をいい、比較平均給与等支給額とは、適用年度の前事業年度の給与等支給額を給与等支給者数で除して計算した金額をいいます。

5.改正規定の適用

この改正は、平成26年4月1日以後に終了する適用年度について、適用されることになります。