国税不服審判所長に対する審査請求

Posted on 18/10/2016 by Koji Takahashi

1.審査請求

国税に関する法律に基づいて税務署長等が行った更生・決定などの課税処分や差押えなどの滞納処分等に不服がある場合には、その処分の取消しや変更を求める不服申立てをすることができます。

不服申立てには、処分を行った税務署長等に対する「再調査の請求」と国税不服審判所長に対する「審査請求」の2種類がありますが、ここでは、国税不服審判所長に対する「審査請求」について、見ていくことにしましょう。

2.審査請求書の提出期限

審査請求は、審査請求書を提出することによって行いますが、その提出期限は、処分があったことを知った日(処分に係る通知を受けた場合にはその受けた日)の翌日から起算して3か月以内です。

ただし、税務署長等に再調査の請求をした場合に、その決定に不服があるときの審査請求については、再調査決定書謄本の送達があった日の翌日から起算して1か月以内です。

3.提出先と提出方法

審査請求書は、その審査請求の目的となる処分を行った税務署長等の管轄区域を管轄(分掌)する国税不服審判所支部(支所)に提出することになります。

直接持参しての提出や、郵送などの方法による提出ができますし、処分を行った税務署長等を経由して提出することもできます。

4.国税不服審判所における審理

国税不服審判所では、審査請求人と原処分庁の各主張の間で争いのある点を中心に調査及び審理が行われます。

原処分庁の具体的な主張は、答弁書の形で提出され、その答弁書の副本が審査請求人に送付されますので、審査請求人は、答弁書に対する反論を記載した反論書を提出することや自らの主張を裏付ける証拠書類等を提出することができます。

また、審理を行うため必要があるときは、担当審判官は、審査請求人・原処分庁の申立てにより又は職権で質問、検査等を行います。

5.口頭意見陳述

審査請求人は、その主張を書面で提出するほか、口頭意見陳述をすることができます。口頭意見陳述には、原則として、原処分庁の担当者も出席することになり、当審判官の許可を得た上で、原処分庁の担当者に質問をすることもできます。

6.採決

調査及び審理が終了すると、国税不服審判所長は、採決を行います。採決には、① 全部取り消し、② 一部取り消し、③ 変更、④ 棄却、⑤ 却下があります。

7.訴訟

審査請求人は、採決の結果、なお不服がある場合には、採決があったことを知った日の翌日から6か月以内に裁判所に訴えを提起することができます。また、3か月以内に採決がされないときは、採決を経ないで訴えを提起することも可能です。

なお、原処分庁は採決に不服があっても訴えを提起することはできません。