印紙税:継続的取引の基本となる契約書

Posted on 04/01/2016 by Koji Takahashi

1.印紙税

印紙税は、経済取引に伴って作成される文書の背景には経済的利益があると推定されること及び文書を作成することによって取引事実が明確化し、法律関係が安定化することに着目して、広範な文書に軽度の負担を求める租税であります。

印紙税の課税文書は20種類に限定されていますが、ここではそのうち「継続的取引の基本となる契約書」(第7号文書)について、確認していきます。

2.継続的取引の基本となる契約書

印紙税における「継続的取引の基本となる契約書」(第7号文書)とは、特定の相手方との間において継続的に生じる取引の基本となる契約書のうち次の文書を言います。

ただし、その契約書に記載された契約期間が3ヵ月以内であり、かつ、更新の定めのないものは除かれます。

① 売買取引基本契約書や貨物運送基本契約書、下請基本契約書などのように、営業者間において、売買、売買の委託、運送、運送取扱いまたは請負に関する二以上の取引を継続的に行うために作成される契約書で、その取引に共通する基本的な取引条件のうち、目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法または再販売価格のうちひとつ以上の事項を定めるもの

② 代理店契約書などのように、両当事者間において、売買に関する業務、金融機関の業務、保険募集の業務または株式の発行若しくは名義書換の事務を継続して委託するため作成される契約書で、その委託する業務または事務の範囲または対価の支払方法を定めるもの

③ 金融、証券、商品取引、保険に関する契約書のうち銀行取引約定書、信用取引口座約定約諾書、保険特約書など一定のもの

3.二以上の取引を継続して行う

「二以上の取引を継続して行うため作成される契約書」とは、たとえば、売買に関する取引を引き続いて二回以上行うため作成される契約書をいい、売買の目的物の引き渡し等が数回に分割して行われるものであっても、その取引が一取引である場合の契約書は該当しません。

4.期間単位の契約

エレベーター保守契約、ビル清掃請負契約等、通常、月等の期間を単位として役務の提供等の債務の履行が行われる契約については、料金等の計算の基礎となる期間1単位ごとまたは支払いの都度ごとに一取引として取り扱うこととされています。したがって、月次で料金計算または月次で支払いが行われる契約については、年間で12取引となります。

5.印紙税の税率

継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)の税率は、一通につき4,000円です。

6.該当しない場合

継続的取引の基本となる契約書に該当しない文書であっても、その記載内容によっては、運送に関する契約書(第1号の4文書)や請負に関する契約書(第2号文書)に該当する場合があります。