副業・兼業から生ずる所得の扱い

Posted on 05/04/2022 by Koji Takahashi

副業・兼業の所得が、事業所得に該当するのか、雑所得になるのか迷うところです。

① 基本的な考え方
事業所得及び雑所得の金額は、どちらも総収入金額から必要経費を控除した金額とされていて、基本的な計算構造が同じです。両者には、必要経費の参入時期や範囲など、次のような相違点があり、その結果、最終的に納付すべき税額が大きく異なります。

② 事業所得と雑所得の主な取扱いの相違点
事業所得と雑所得の主な取扱いの相違点については、資産損失、貸倒損失、損益通算、事業専従者給与、青色申告(特別)控除があります。
資産損失については、事業所得では必要経費算入可、雑所得では所得金額を限度に算入可。
貸倒損失については、事業所得では発生した年分の必要経費、雑所得では売上に計上した年分にさかのぼって修正できます。
損益通算については、事業所得では適用可、雑所得では適用不可です。
事業専従者給与については、事業所得では必要経費算入可、雑所得では算入不可です。
青色申告(特別)控除については、事業所得では適用可、雑所得では適用不可です。

③ 裁判例が示す基準
名古屋地裁昭和60.4.26判例によれば裁判所は、一定の経済的行為が「対価を得て継続的に行う事業」に該当するか否かは、「当該経済的行為の営利性、有償性の有無、継続性、反復性の有無のほか、自己の危険と計算による企画遂行性の有無、当該経済的行為をなす資金の調達方法、その者の職業、経歴及び社会的地位、生活状況及び当該経済的行為をなすことにより相当程度の期間継続して安定した収益を得られる可能性が存するか否か等の諸要素を総合的に検討して社会通念に照らしてこれを判断すべき」としています。