再生可能エネルギー 税務典型論点

Posted on 30/11/2020 by Koji Takahashi

菅義偉首相が2020年10月26日に召集された臨時国会で温室効果ガス排出量を2050年までに実質ゼロとする目標を宣言した。これにより注目が集まる再生可能エネルギーだが、税務上は各種の論点がある。

典型論点を以下の通り紹介する。

1. 減価償却
通常の減価償却資産と同様に、税務上の法定耐用年数に基づき定額法または定率法により減価償却限度額を計算する。

一般的な資産の法定耐用年数は以下の通り。
① 架線配電線、送電線 36年
② 埋設配電前、地下送電線 25年
③ 発電装置 17年
④ 送電設備、変電設備 22年

2. 連結工事負担金
繰延資産に該当する。償却期間は15年

3. 事業税・特別法人事業税
資本金の額が1億円超か1億円以下で課税標準と税率が異なる。
① 資本金の額が1億円を超える法人
東京都の場合、
収入割:1.1025%
付加価値割(*1): 0.3885%
資本割(*2): 0.1575%

(*1) 報酬給与額、純支払利子及び純支払賃借料の合計額に単年度損益(繰越欠損金控除前の法人事業税の所得金額)を加算した金額

(*2) 資本割の課税標準となる資本金等の額は、原則として、法人税法規定する資本金等の額になる。ただし、無償増資、無償減資等を行った場合は、調整後の金額となる。また、上記の金額と資本金及び資本準備金の合算額との比較により算定する。

② 資本金の額が1億円以下の法人
東京都の場合、
収入割: 1.1025%
所得割: 1.9425%

4. 建設中の金利の取り扱い
税務上は、固定資産の取得(製作等を含む。)のために要した借入金の利子は、取得価額に含めることも出来るし含めないことも出来る。

通常、建設中は所得が発生しないため欠損金として繰り越すか(繰越期間は10年が限度)、減価償却として費用を計上するかは所得が将来いつどの程度発生するのかシムレーションによりどちらが有利になるか判断する必要がある。

5. 消費税還付
発電設備の導入にかかった費用に対して支払った消費税の還付を受けることができる。ただし、消費税の課税事業者になる必要がある。

また、支払対価の額(税抜き)が1,000万円以上の棚卸資産又は調整対象固定資産について消費税の還付を受けた場合には、購入した事業年度とその後の2年間は免税事業者になれないため留意が必要である。

調整対象固定資産とは、棚卸資産以外の資産で、建物、構築物、機械及び装置、船舶、航空機、車両及び運搬具、工具、器具及び備品、鉱業権その他の資産で消費税等を除いた税抜価格が100万円以上のものをいう。

By Certified Public Accountant (CPA) & Tax Accountant, Tokyo & Yokohama