内装工事にかかる資産の耐用年数

Posted on 09/08/2012 by Koji Takahashi

  所有あるいは賃貸しているオフィスに対する内装工事によって計上された固定資産について、税務上は通達に細かな規定がされている。当該解釈については税務調査でも揉める要因になっているようであり、当該内容工事による資産区分及び耐用年数については十分な留意が必要である。

1.賃貸オフィスに関する内装工事(造作)

  これに関しては常識的に考えられる方法での耐用年数を各資産に付して問題がないようである。このケースにおいて耐用年数の適用等に関する取扱通達では以下のように規定されている。

(他人の建物に対する造作の耐用年数)

1-1-3 法人が建物を貸借し自己の用に供するため造作した場合(現に使用している用途を他の用途に変えるために造作した場合を含む。)の造作に要した金額は、当該造作が、建物についてされたときは、当該建物の耐用年数、その造作の種類、用途、使用材質等を勘案して、合理的に見積った耐用年数により、建物附属設備についてされたときは、建物附属設備の耐用年数により償却する。ただし、当該建物について賃借期間の定めがあるもの(賃借期間の更新のできないものに限る。)で、かつ、有益費の請求又は買取請求をすることができないものについては、当該賃借期間を耐用年数として償却することができる。(昭46年直法4-11「1」により改正)

(注) 同一の建物(一の区画ごとに用途を異にしている場合には、同一の用途に属する部分)についてした造作は、そのすべてを一の資産として償却をするのであるから、その耐用年数は、その造作全部を総合して見積ることに留意する。

2.所有する建物に関する内装工事(造作)

  所有する建物に関しては上記のようにはいかず、建物と一体として考えられるものは原則として当該建物の耐用年数によることとされている。税務当局は当該内装工事を建物のいわゆるリフォームと考え建物のそのものの耐用年数によることを原則としているようである。しかしながら、実際には耐用年数が相当年数経過しているものに対して、当該資産に建物と同等の耐用年数によることが実態にあっているのかなどの疑問がある。また、税務調査で特に議論になるのが、建物に施した内装工事により発生した資産が当該建物と不可分の場合は、当該資産が他の備品等と同等の耐用年数しかもたない場合でも当該建物と同じ耐用年数によることが指摘されているケースがある。このように現状を鑑みると当該取扱通達自体に問題があるようにも思えるが、争った場合には費用と時間もかかり思った結果には結び付かないこともあることから、内装工事によって取得した固定資産の資産区分をしっかりと行っておくことが重要と考える。資産区分を細かに行っておけば、当該資産区分の除却と除却損の計上が可能となることから、内装工事にかかる資産計上は一括で行わないことが重要である。

(建物の内部造作)

1-2-3 建物の内部に施設された造作については、その造作が建物附属設備に該当する場合を除き、その造作の構造が当該建物の骨格の構造と異なっている場合においても、それを区分しないで当該建物に含めて当該建物の耐用年数を適用する。したがって、例えば、旅館等の鉄筋コンクリート造の建物について、その内部を和風の様式とするため特に木造の内部造作を施設した場合においても、当該内部造作物を建物から分離して、木造建物の耐用年数を適用することはできず、また、工場建物について、温湿度の調整制御、無菌又は無じん空気の汚濁防止、防音、遮光、放射線防御等のために特に内部造作物を施設した場合には、当該内部造作物が機械装置とその効用を一にするとみられるときであっても、当該内部造作物は建物に含めることに留意する。

 

By CPA & Tax accountant, Koji Takahashi