交通事故の損害賠償金

Posted on 04/04/2017 by Koji Takahashi

1.損害賠償金の取り扱い

役員や使用人が、社有車で交通事故を起こしたことによって他人に与えた損害について、会社が相手方に対して損害賠償金を支払った場合の税務上の取り扱いについては、業務遂行との関連性の有無や故意または重過失の有無に応じて、異なることになります。

2.業務遂行に関連する場合

その行為が会社の業務遂行に関連するものである場合には、役員や使用人の故意または重過失に基づかないものであるときは、会社が支出した損害賠償金については、損金の額に算入されます。

また、故意または重過失に基づくものであるときには、その役員または使用人に対する債権(立替金)とされます。

3.業務遂行に関連しない場合

その行為が会社の業務遂行に関連するものでない場合には、役員や使用人の故意または重過失の有無にかかわらず、その役員または使用人に対する債権(立替金)とされます。

4.債権(立替金)の取り扱い

会社が支出した損害賠償金が、その役員または使用に対する債権(立替金)とされた場合には、その役員または使用人の支払能力等からみて求償できない事情にあるため、その全部または一部に相当する金額を貸倒れとして損金経理をした場合には、その処理が認められることになります。

また、損害賠償金相当額をいったん債権(立替金)として計上しないで、直接損金の額に算入した場合であっても、同様の取り扱いとなります。

ただし、その貸倒れ等とした金額のうち、その役員または使用人の支払能力等からみて回収が確実であると認められる部分の金額については、その役員または使用人に対する給与とされます。

5.金額が未確定の場合

損害を受けた相手方と示談交渉中等で、その事業年度終了の日までにその賠償すべき額が未確定の場合であっても、事業年度終了の日までに賠償額として相手方に申し出た金額に相当する金額(保険金等により補てんされることが明らかな部分の金額を除く)については、未払計上により損金の額に算入することが認められます。

6.重大な過失の判定

重大な過失の有無については、その者の職業、地位、加害当時の周囲の状況、侵害した権利の内容及び取締法規の有無等の具体的な事情を考慮して、その者が払うべきであった注意義務の程度を判定し、不注意の程度が著しいかどうかにより判定することとされています。

なお、自動車等の運転者が無免許運転、高速度運転、酒気帯び運転、信号無視その他道路交通法に定める義務に著しく違反すること、または、会社が超過積載の指示、整備不良車両の運転の指示その他道路交通法に定める義務に著しく違反することにより他人の権利を侵害した場合には、特別な事情がない限り、それぞれの行為者に重大な過失があったものとされますので、注意する必要があります。