キビしい裁決事例もある・・・ 給与所得者の旅費

Posted on 02/12/2014 by Koji Takahashi

1.非課税とされる旅費
給与所得を有する者が勤務する場所を離れてその職務を遂行するため旅行をし、もしくは転任に伴う転居のための旅行をした場合または就職もしくは退職をした者もしくは死亡による退職をした者の遺族がこれらに伴う転居のための旅行をした場合に、その旅行に必要な支出に充てるため支給される金品で、その旅行について通常必要であると認められるものについては、所得税が非課税とされています。
2.非課税の判断
非課税とされる旅費は、その旅行の目的、目的地、行路もしくは期間の長短、宿泊の要否、旅行者の職務内容及び地位等からみて、その旅行に通常必要とされる費用の支出に充てられると認められる範囲内のものをいいます。
その判断に当たって、次の事項を勘案することとされています。
① その支給額が、その支給をする使用者等の役員及び使用人の全てを通じて適正なバランスが保たれている基準によって計算されたものであるかどうか。
② その支給額が、その支給をする使用者等と同業種、同規模の他の使用者等が一般的に支給している金額に照らして相当と認められるものであるかどうか。
3.単身赴任者の帰宅旅費、非課税に当たらないとした裁決事例も
単身赴任者に対して帰宅のための旅費を支給する場合は、職務を遂行するための旅費には該当しないため、原則として非課税の規定の適用はありません。
しかしながら、単身赴任者が職務遂行上必要な旅行に付随して帰宅のために旅行を行った場合に支給される旅費については、これらの旅行の目的、行路等からみて、これらの旅行が主として職務遂行上必要な旅行と認められ、かつ、当該旅費の額が非課税とされる旅費の範囲を著しく逸脱しない限り、非課税として取り扱うこととされています。
単身赴任者の帰宅旅費について、業務報告書は義務づけてはいませんが、口頭での業務報告を受けており、業務報告をさせるための旅行に付随した帰宅旅費であり、非課税に該当するとの納税者の主張に対して、毎月1回、旅行日はほぼ土曜日、日曜日等の休日で、業務報告を具体的に証明できる客観的な報告書等の作成も行っていないとして、非課税には当たらないとした裁決事例(平成10年1月29日裁決)もあります。
税務上のトラブルを回避するためにも、職務遂行上必要な旅行に付随しての帰宅であることを明確にしておくことが大切です。
4.非常勤役員の出勤費用
会社その他の団体の非常勤の役員、顧問、相談役等に対して、その勤務する場所に出勤するために行う旅行に必要な運賃、宿泊料等の支出に充てるものとして支給される金品で、社会通念上合理的な理由があると認められる場合に支給されるものについては、その支給される金品のうちその出勤のために直接必要であると認められる部分については、課税しなくて差し支えないこととされています。