ふるさと納税を考える

Posted on 20/12/2021 by Koji Takahashi

総務省によりますと、令和2年度のふるさと納税の件数は3,488万件、寄附額は前年比38%増の6,724億円で2年ぶりに増加し、いずれも過去最高。3年度の住民税控除額は4,311億円、控除適用者数は552万人で、こちらも過去最高です。

1.ふるさと納税
納税という名称ですが制度上の実態は寄附であり、任意の自治体に寄附をして、その寄附金額を現に居住する地方自治体へ申告することにより寄附分が控除できるこの制度をもって、希望自治体に事実上の納税をするというものです。

2.メリットとデメリット
国民が自ら税の使い方を選べる、生まれ故郷を離れてもその地域に貢献することができるなど数々のメリットはありますが、
① 行政サービスを受ける住民が税を負担する受益者負担の原則の観点からはずれてしまう。
② 自治体の税務が煩雑になる。
③ 根本的な地方活性化や地方間格差を是正するための対策になっていない。
④ 制度利用者の関心が返礼品に集中しており、実質財源を必要とする自治体への寄附が行われていないのでは、
というデメリットもあります。

3.ワンストップ特例制度
ワンストップ特例制度は、確定申告の不要な給与所得者等(年収2,000万円以下のサラリーマンや年収400万円以下の年金受給者など)が行う5自治体以内のふるさと納税であれば、各自治体に特定の適用に関する申請書を提出することを条件に、確定申告をしなくとも住民税の寄附金税額控除を受けられる制度です。

4.留意点
ふるさと納税は、返礼品やその使途のあり方に問題がある一方で、近年の大規模災害への災害支援寄附に対し、自主的な活動として機能した事実は大きいと思われます。今後この制度がその見直しを意識改革の中で健全に発展していくことが期待されます。