スキャナ読取による電子保存

Posted on 01/04/2016 by Koji Takahashi

1.電子帳簿保存法の改正

平成27年度税制改正によって、「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則」が改正され、証憑類のスキャナ読取による電子保存の要件が緩和されました。

2.対象書類の範囲拡大

取引に関して、相手から受け取った契約書、領収書その他これらに準ずる書類及び自己の作成したこれらの書類でその写しのあるものはその写し(重要書類)について、その記載された契約金額または受取金額が3万円以上のものはスキャナ保存の対象外でしたが、金額に関わらずスキャナ保存の対象となりました。

なお、棚卸表、貸借対照表、損益計算書、計算・整理または決算に関して作成されたその他の書類については、引き続きスキャナ保存は認められません。

3.スキャナ保存の要件緩和

業務処理サイクル方式を採用する際に必要とされていた承認が不要とされました。

また、スキャナで読み取る際に、一の入力単位ごとの電磁的記録の記録事項に、当該入力を行う者又はその者を直接監督する者の電子署名を行うこと、とする要件が廃止されました。

それに伴って、当該入力を行う者またはその者を直接監督する者に関する情報を保存しておくことが要件とされ、さらに、適正事務処理要件が追加されました。

4.適正事務処理要件

適正事務処理要件とは、相互に関連する事務について、それぞれ別の者が行う体制、事務処理の内容を確認するため定期的な検査を行う体制・手続、事務処理に不備があると認められた場合にその報告、原因究明、改善のための方策の検討を行う体制を規定に定め、それに基づいて事務処理をすることをいいます。

5.入力要件の緩和

重要書類以外の書類について、スキャナ読取の際に必要とされている書類の大きさに関する情報の保存が不要とされ、カラーでの保存ではなく白黒(グレースケール)での保存も認めることとされました。

6.申請手続き

スキャナ保存を行なおうとする場合には、その行なおうとする日の3ヵ月前の日までに、所轄税務署長に対して「国税関係書類の電磁記録によるスキャナ保存の承認申請書」を提出して承認を受けることが必要となります。申請の際には、次の書類を添付することになります。

① 承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理システムの概要を記載した書類

② 承認を受けようとする国税関係書類の保存を行う電子計算機処理に関する事務手続の概要を明らかにした書類(当該電子計算機処理を他の者に委託している場合には、その委託に係る契約書の写し)

③ 申請書の記載事項を補完するために必要となる書類その他参考となるべき書類

7.改正規定の適用

この改正規定は、平成27年9月30日以後に行う承認申請から適用されています。