質問応答記録書の現場対応 ~新税務調査手続きにおける~

Posted on 01/09/2014 by Koji Takahashi

新税務調査手続き上では「質問応答記録書」と呼ばれる書類が新設されています。調査の現場で税務調査に臨場した調査担当者により作成されるケースが散見されています。今回はこの件につき検討します。

1.性格
この記録書は、調査関係事務において必要がある場合に、質問検査等の一環として、調査担当者が納税義務者等に対して質問し、それに対し納税者等から回答を受けた事項のうち、とくに重要と認められる事項について、その事実関係の正確性を期するため、その要旨を調査担当者と納税義務者等の質問応答形式等で作成する行政文書とされています。法人税だけでなく所得税・相続税の調査においても作成が予測されます。

2.「申述書」等との違い
従前の調査で作成されていた「申述書」と違い、課税処分や調査終了後の審査請求や訴訟などのケースで国税当局の証拠となる得る行政文書とされています。
さらに、この記録書の作成時にその写しは、納税者等に交付はされませんが、原則として個人情報保護法に基づく情報開示の対象にはなりますので留意しなければなりません。

3.その他の留意点
記録書が作成された場合、回答者である納税義務者は、調査担当者からその内容に対する読み上げや提示がなされます。その後同記録書に署名押印等を求められることとなりますが、このことは任意でありますので拒否することも可能で、調査担当者が強要することもありません。これらの手順は全42問からなる「質問応答記録書作成の手引」の中に記載されていますが、今後調査の現場においては、新しい手続きでもあるので、その趣旨と内容の正確性等について充分理解の上対処することが肝要と思われます。