美術品等の減価償却の可否 ~取扱いの変更~

Posted on 30/06/2015 by Koji Takahashi

平成27年1月1日以後に取得する美術品等の減価償却の取扱いに変更がありました。

1.変更前の取扱い

「時の経過によりその価値が減少しないもの」は減価償却資産から除く。美術品等を減価償却資産とすべきかどうかの判断は極めて困難であるため、その判断基準は従前の通達では次のように定められていました。

美術関係年鑑等に登載されている者は、プロの作品とし、その者の制作による絵画等は、原則として減価償却資産に該当しないこと。又、取得価額が1点20万円(絵画にあっては号2万円)未満であるものは減価償却資産とされていました。旧通達の発遣後30年程経過したこともあり、美術品等の多様化や経済状況等の変化に対応し、昨年12月に新通達が発遣されました。

2.変更後の取扱い

平成27年1月1日以後に取得する美術品等については次のようになりました。

まず、古美術品、古文書等の歴史的価値を有し、代替性のないものについては、前述の「時の経過によりその価値の減少しないもの」として、減価償却資産に該当しないものの扱いに変更はありません。

一方、取得価額が1点100万円以上の美術品等については、時の経過によりその価値が減少することが明らかなものを除き、減価償却資産に該当しないこととし、1点100万円未満である美術品等については、時の経過によりその価値が減少しないことが明らかなものを除き、減価償却資産に該当することとなりました。

3.留意点

この改正は、過去に遡って適用はしませんが、平成27年1月1日前に取得された美術品等が、新通達により減価償却資産に該当し、適用初年度において事業の用に供されていれば、適用初年度から減価償却を行うことができます。