税務関係書類における押印義務の見直し

Posted on 08/07/2021 by Koji Takahashi

各省庁では、規制改革推進会議が提示する基準の見直しを踏まえて大きく4つのケースにおいて押印を廃止することとされる閣議決定がされました。今回はこの件と、特に税務関係処理の見直しをまとめてみます。
1.4つのケース
① 法令の条文、省令・告示の様式のいずれにも押印を求める根拠がないもの
② 省令・告示の様式のみに押印欄がある手続でも、登記印・登録印を求めているなど特段の事情がないもの
➂ 合理的な理由があって登記印・登録印を求めているものでも、押印が求めらている趣旨に照らして押印を求める合理的理由が認められないもの
④ 他の手段により押印が求められる趣旨を代替可能なもの
以上が基本的な考え方です。

2.税務関係書類の押印義務の見直し
① 国税通則法による原則
納税者等の押印をしなければならないこととされている国税関係書類及び地方税関係書類については、原則として、押印義務が廃止されます。

② 例外
1)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類は押印が必要です。
2)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類は押印が必要です。

3.適用関係・留意点・実務
この改正は、令和3年4月1日以後に提出する国税関係書類及び地方税関係書類について適用されます。
従って、この改正の趣旨を踏まえて、押印を要しないこととする税務関係書類については、施行日前においても運用上、押印がなくても改めて求めないこととします。実務上は全国税務署窓口においても、本件見直しの対象となる税務関係書類は、押印がなくとも改めて求めないこととしています。なお、税理士等が行う税務関係書類の押印義務も廃止されていますが、署名義務は存続しますので、留意して下さい。