社員旅行の取扱い ~不参加者への現金支給など~

Posted on 22/05/2015 by Koji Takahashi

1.レクリエーション費用の取扱い 会社が福利厚生の一環として実施する社員旅行や懇親会、運動会などのレクリエーション費用については、「使用者が役員又は使用人のレクリエーションのために社会通念上一般的に行われていると認められる会食、旅行、演芸会、運動会等の行事の費用を負担することにより、これらの行事に参加した役員又は使用人が受ける経済的利益については、使用者が、当該行事に参加しなかった役員又は使用人(使用者の業務の必要に基づき参加できなかった者を除く)に対してその参加に代えて金銭を支給する場合又は役員だけを対象として当該行事の費用を負担する場合を除き、課税しなくて差し支えない」とされています。

2.社員旅行の留意点 会社主催の社員旅行に係る経済的利益については、所得税が課税されないものとして認められるためには、社会通念上一般的に行われていると認められる範囲のものであることが前提となります。

社会通念上一般的に行われていると認められる範囲のものであるかどうかの判断については、旅行の企画立案、主催者、旅行の目的、規模、行程、従業員の参加割合、使用者および従業員等の負担額および負担割合などを総合的に考慮して行われることになりますが、次の2要件を満たしている場合には、原則として、課税しなくて差し支えないものとされています。

① 旅行期間(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数)が4泊5日以内のものであること

② その旅行の従業員等の参加割合(工場、支店等で行う場合には、その工場、支店等の従業員等の参加割合)が50%以上であること

3.現金支給の場合の取扱い 社員旅行の不参加者に対して旅行参加に代えて現金を支給している場合には、現金を支給された旅行の不参加者はもとより、旅行の参加者についても、一律にその現金支給額相当の経済的利益があったものとして、課税対象とされます。

ただし、使用者の業務の必要に基づいて参加できなかった者に対してのみ現金を支給する場合には、その現金を支給された旅行の不参加者のみ、課税対象となります。

4.旅行日程が2泊3日で従業員のほぼ全員が参加している海外への社員旅行(会社が負担した従業員一人当たりの旅行費用の額241,300円)に係る経済的利益について、「所得税を課税しなくて差し支えないとする通達は、レクリエーション行事の参加者の受ける経済的利益の額、すなわち使用者の負担額を重視し、その額が少額不追求の範囲内であることを前提に強いて課税しないこととしたものと解されるから、当該経済的利益の額が多額で、社会通念上一般的と認められる範囲を逸脱しているような場合には、課税をしないものとして取り扱うべき根拠を失うこととなる」として、当該経済的利益の額(241,300円)を課税対象とした事例(平成22年12月17日裁決)がありますので、注意が必要です。