所得拡大促進税制

Posted on 24/07/2013 by Koji Takahashi

1.所得拡大促進税制の創設

平成25年度税制改正により、所得拡大促進税制が創設されました。これは、デフレ脱却のために、企業が従業員の給与等支給額を増加させた場合、その増加額の10%の税額控除を行うもので、個人(事業所得者)及び法人に対して適用されますが、ここでは法人に限定してその内容を確認していくことにしましょう。

2.適用期間

所得拡大促進税制(雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)は、平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に開始する各事業年度に適用されます。

したがって、3月決算法人の場合には、平成26年3月決算から平成28年3月決算までが適用期間となります。

3.適用要件

青色申告書を提出する法人で、次の3つの要件を満たしていることが必要です。

(1)基準事業年度に対する増加割合要件

雇用者給与等支給増加額(雇用者給与等支給額から基準雇用者給与等支給額を控除した金額)の基準雇用者給与等支給額に対する割合が5%以上であることが必要です。

なお、雇用者給与等支給額の対象となるのは、国内の事業所に勤務する法人の使用人(使用人兼務役員、特殊関係使用人は除きます)で、賃金台帳に記載された者です。給与等支給額とは、所得税法に規定する給与等でその事業年度の損金の額に算入される給与等の支給額をいいますが、他の法人等から給与負担金を受け入れている場合には、その給与負担金の額を控除した金額となります。

また、基準雇用者給与等支給額とは、平成25年4月1日以後に開始する各事業年度のうち最も古い事業年度の直前の事業年度(3月決算法人の場合、一般的には平成25年3月期)の給与等支給額をいいます。

(2)前事業年度に対する非減少要件

雇用者給与支給額が、比較雇用者給与等支給額以上であることが必要です。

なお、比較雇用者給与等支給額とは、適用年度の前事業年度の給与等支給額をいいます。

(3)平均支給額要件

平均給与等支給額が、比較平均給与等支給額以上であることが必要です。

なお、平均給与等支給額とは、適用年度の給与等支給額を給与等支給者数(適用年度における給与等月別支給対象者の数を合計した数)で除して計算した金額をいい、比較平均給与等支給額とは、適用年度の前事業年度の給与等支給額を給与等支給者数で除して計算した金額をいいます。

4.税額控除限度額

雇用者給与等支給増加額の10%が、税額控除限度額となりますが、その事業年度の法人税額の10%(中小企業者等は20%)が、上限となります。

5.選択要件

雇用促進税制(雇用者の数が増加した場合の法人税額の特別控除)の適用を受ける事業年度については、所得拡大促進税制の適用を受けることはできません。