平成28事務年度 ~所得税等の調査実績~

Posted on 16/03/2018 by Koji Takahashi

1.全体的方向性

バランス良い人員配分をもとに次のような3方向による調査が実施されました。

① 特別調査・一般調査

高額・悪質な調査重要度が高いと思われる個人に対しての深度ある調査を実施しました。

② 着眼調査

短期間で申告漏れ所得等の把握を行う効率的・効果的な調査を実施しました。

③ 簡易接触

申告漏れ、所得(税額)控除の適用誤り、計算誤りがある申告を是正するため簡易な接触を実施しました。

2.実地調査件数

実地調査件数は、64万7千件と前年比0.6%減とやや減少しました。そのうち申告漏れ等の間違いがあったものは、40万件強と前年比1.2%増となり、結果申告漏れ所得金額は同1.1%増の8,884億円となりました。同様に追徴税額も同3.5%増加の1,112億円となっています。所得税無申告者に対する調査は、前年比件数で2.2%増の7612件、申告漏れ所得金額は同4%減の1,406億円、追徴税額は、同2.7%減の146億円となっています。一方、消費税無申告者に対する調査は、同8.6%増の8816件で、追徴税額13.4%増の135億円といずれも増加しました。この結果は統計が始まった23年度以降で過去最高になっている点が注目されます。

3.具体的調査事項

① 海外投資関係

外国法人や海外居住者からの受金が、本来は、受取配当金であるにもかかわらず、金銭貸借契約に基づく借入金であるとの偽装をしていた事例があります。

② 消費税無申告事例

活況を呈している高級バーは、所得税の申告はしているものの数年毎に申告名義人が変更されており、消費税の申告はなされていなかった。申告名義人は課税逃れの隠れ蓑であり、他に実質経営者が存在していた事例があります。