平成30年分の国外財産調書の提出状況

Posted on 08/06/2020 by Koji Takahashi

1.概要

この調書の提出件数は、前年比4.3%増の9,961件でした。提出義務の要件は、その年の12月31日において、その価額の合計額5,000万円を超える国外財産を有する者は、その国外財産の種類、数量及び価額その他必要な事項を記載したこの調書を翌年の3月15日までに提出しなければならないとの内容です。

令和元年6月末現在で平成30年分のこの調書の提出件数を局別にみると、東京局が全体の64.4%を占め、6,413件、次いで大阪局が同14.1%の1,405件となっています。総財産額は、全体で3兆8,965億円となっており、東京局が全体の73.0%を占め2兆8,458億円、ついで大阪局が同13.6%の5,282億円となっており、東京局に集中しています。

2.財産の種類別総額

財産の種類では、有価証券が全体の54.2%を占め金額で2兆1,135億円となっています。前年比9.8%増となっています。

次いで、預貯金が同7.0%減の5,771億円で全体の14.8%、建物が同7.9%増の4,360億円で全体の11.2%の構成比となっています。

3.特別措置等

適正な提出を確保するために次のような措置等が設けられています。

① 加算税の軽減措置

提出された国外財産に係る所得税・相続税の申告漏れが生じたときであっても加算税を軽減(-5%)する措置。

② 加算税の加重措置

調書の提出がない場合又は提出された調書に記載のない国外財産に係る所得税の申告漏れが生じたときには、加算税を加重(+5%)する措置。

③ 罰則の適用

正当な理由なく期限内に提出がない場合又は虚偽記載の場合に、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金の措置。

国税庁では、適正な提出確保のための文章照会も積極的に実施しており、特筆すべきは、今回の報告で③の故意の不提出での初の告発事例も公表されている点です。