~平成最後の30年分~ 税務統計からみた民間給与の実態

Posted on 22/01/2020 by Koji Takahashi

給与所得者数や給与総額が過去最大となる中、結果としての年間平均給与は平成3年分バブル期の水準である447万円という額まであと一歩の441万円となりました。

1.今回の特色

① 1年を通じて勤務した給与所得者の平均給与は6年連続上昇で、前年比2%増の441万円となりました。

② 正規の方の平均給与は同2%増の504万円、非正規の方は同2.2%増の179万円となっています。

③ 配偶者控除の適用者は同4.5%減の907万人、一方の配偶者特別控除の適用者は同10%増の134万7千人となりました。この結果は平成29年度税制改正による両控除の取扱いの変更が反映された結果となっています。

2.分析

昨年減少した非正規の人数が、増加に転じたのは、女性就業者の増加が影響していると思われます。一方、給与所得者の合計所得金額が1,000万円超のケースでは、配偶者控除の適用が受けられなくなり、配偶者を扶養する人が42万人減少したことから女性就業者が同様に増加していると思われます。又、配偶者特別控除額の適用者が12万人も増えた事実は、その対象者(配偶者)が非正規のパート等となったり、給与が増加した要因との分析ができると思われます。結果として配偶者特別控除の平均控除額は2万5,000円増加の32万8,400円となっています。

3.業種別の分析

業種のなかで平均給与が高かったのは電気・ガス・熱供給・水道業の759万円でした。次には金融・保険業の631万円が続きます。逆に最も低かったのは宿泊業・飲食サービス業の251万円でした。

4.その他

1年を通じて勤務した給与所得者のうち85.1%の4,280万人弱の人が源泉徴収で所得税を納税しています。又、その税額は、前年比8.3%増の10兆5,558億円でした。

源泉徴収制度の歴史が感じられます。