帳簿の提出がない場合等の加算税の加重措置

Posted on 02/02/2023 by Koji Takahashi

①加算税の加重措置
 令和4年度税制改正によって、記帳水準の向上に資する観点から、記帳義務の適正な履行を担保し、帳簿の不保存や記載不備を未然に防止するため、過小申告加算税・無申告加算税の加重措置が創設されました。

②加重される割合
 申告所得税、法人税、消費税の税務調査において、税務職員から「売上げ(業務に係る収入を含む)に関する調査に必要な帳簿」の提示等を求められ、かつ、次のいずれかに該当する場合には、申告漏れ等に対して課される通常の過小申告加算税・無申告加算税の割合が10%または5%加重されます。
(1)帳簿の提示等をしなかった場合、10%加重
(2)帳簿への売上金額の記載等が、本来記載等すべき金額の2分の1未満だった場合、10%加重
(3)帳簿への売上金額の記載等が、本来記載等すべき金額の3分の2未満だった場合、5%加重

③適用開始時期
 この加重制度は、令和6年1月1日以後に法定申告期限が到来する申告所得税、法人税、消費税について適用されます。したがって、申告所得税については、令和5年分から、法人税については、令和5年10月決算期分から適用されることになります。

④重加算税との関係
 この加重措置は、過小申告加算税と無申告加算税を対象としており、重加算税や不納付加算税については対象とされていません。したがって、過小申告加算税または無申告加算税が加重されるべき状況であっても、それに代えて重加算税が課される部分について、重加算税の割合が加重されるわけではありません。

⑤対象となる売上げ
 この措置の対象となる「売上げ(業務に係る収入を含む)」とは、所得税の場合には、商品製品等の売上げ、役務提供に係る売上げ、農作物の売上げ、不動産等の賃貸料などをいい、家事消費や雑収入は含まれません。また、法人税の場合には、売上高、営業収入等営業活動から生ずる利益をいい、営業外収益、特別利益は含まれません。

⑥計上時期の誤り
 売上げについて、本来記載等をすべき年分以外の年分の帳簿に記載等がされている状態(いわゆる期ずれ)となっていた場合について、たとえば、令和5年分の帳簿に記載等をすべき売上げについて、令和6年分の帳簿への記載等が、税務調査において確認された場合は、帳簿への記載等が不十分であるかどうかの判定上、本来記載等をすべき年分(令和5年分)の帳簿に記載等がされているものとして取り扱われます。

⑦加重の対象
 この加重措置では、税務調査の結果に基づいて新たに納める必要のある税額全額に対する過小申告加算税・無申告加算税が加重されるのではなく、必要経費の過大計上など売上げについて帳簿に記載すべき事項等に係るもの以外のものがある場合には、その部分は加重措置の対象にはなりません。