大法人の電子申告の義務化

Posted on 07/09/2018 by Koji Takahashi

1.電子情報処理組織による申告の特例

平成30年度税制改正において、税務手続におけるICTの活用推進、データの円滑な利用により、社会全体のコスト削減及び企業の生産性向上を図る観点から、電子情報処理組織による申告の特例制度が創設され、一定の大法人が行う法人税等の申告は、e-Tax(電子情報処理組織)により提出しなければならない(電子申告の義務化)こととされました。

2.対象税目と対象法人

電子申告の義務化の対象となる税目は、① 法人税及び地方法人税、②消費税及び地方消費税です。

対象となる法人は、法人税及び地方法人税については、① 内国法人のうち、その事業年度開始の時において資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人、② 相互会社、③ 投資法人、 ④ 特定目的会社です。

また、消費税及び地方消費税については、それに加えて、⑤ 国及び地方公共団体です。

3.対象手続と対象書類

電子申告義務化の対象となる手続は、確定申告書、中間(予定)申告書、仮決算の中間申告書、修正申告書及び還付申告書です。

対象となる書類は、申告書及び申告書に添付すべきものとされている書類(法人税における財務諸表、勘定科目内訳明細書等、消費税の申告書付表等の添付書類)の全てです。

電子申告の義務化の対象法人が、法定申告期限までに、e-Taxにより申告書を提出せず、書面により提出した場合は、その申告書は無効なものとして取り扱われ、無申告加算税の対象となります。

4.e-Taxによる申告が困難である場合の特例

電気通信回線の故障、災害その他の理由によりe-Taxを使用することが困難であると認めれる場合において、書面により申告書を提出することができると認められるときは、納税地の所轄税務署長の事前の承認を要件として、法人税等の申告書及び添付書類を書面によって提出することができます。

5.承認申請

書面提出の承認を受けようとする内国法人は、その規定の適用を受けることが必要となった事情、指定を受けようとする期間等一定の事項を記載した申請書に一定の書類を添付して、原則としてその期間の開始の日の15日前までに、所轄税務署長に提出する必要があります。

6.地方税の取扱い

法人住民税及び法人事業税についても、国税の場合と同様に電子申告が義務化されました。

7.適用関係

電子申告の義務化は、平成32年(2020)年4月1日以後に開始する事業年度(課税期間)から適用されます。

8.適用開始届出

電子申告の義務化の対象となる法人は、所轄税務署長に対し、適用開始事業年度等を記載した届出書を、平成32年4月1日以後最初に開始する事業年度(課税期間)において義務化対象法人となる場合、当該事業年度(課税期間)開始の日から1ヵ月以内に提出する必要があります。