外国企業の日本における委託販売にかかる消費税

Posted on 10/08/2012 by Koji Takahashi

日本企業が国内において外国企業との委託販売契約により、当該外国企業の物品の販売を場合の消費税について多くの会社が見過ごしていることがあるようです。そもそも委託販売契約を受託する側からのメリットは、在庫リスクを負わない点です。委託販売は顧客に販売するまで在庫は委託者側にあるため受託社側は在庫リスクを負いません。特にマーケット価格の変動が大きいものについては、保有するだけで損失の発生する可能性があることもあり、安定した業績を継続するには委託販売契約を締結することで、安定した手数料収入の計上が可能となります。委託側については在庫リスクは負うものの、ターゲットとするマーケットに直接投資することなく自社ブランドを展開できるメリットはあります。
では、このように在庫の所有権が受託側に移らない場合、当該製品の販売かかる消費税は誰が納税するのでしょうか。消費税法第四条1項を見ますと以下のように記載されています。「国内において事業者が行った資産の譲渡等については、この法律により、消費税を課する。」。また、第五条1項では、「事業者は、国内において行った課税資産の譲渡等につき、この法律により、消費税を納め義務がある。」とあります。以上の条文を見る限り、事業者について国内、国外の区別はされていなく単純に国内において行った課税資産の譲渡等について課税することと、当該事業者の納税義務が記載されているだけです。以上から外国企業が委託販売を日本国内で行った場合、在庫の所有権が販売するまで委託者側にあることから譲渡等をしたものは外国企業になります。委託者はあくまでも販売に関するお手伝いをしたということで手数料をもらうだけです。この結果、当該外国企業は日本において消費税の申告義務が発生しますので、納税管理人の選任を行い申告納税することになります。これは、子会社あるいは支店を持たない外国企業が日本国内に直接、物品の販売を行った場合も同様です。なお、納税すべきか否かは消費税法に規定されている基準に従い、法人の資本金あるいは基準期間における課税売上高により判定します。委託販売を行った場合の課税関係は以下の通りになります。

1.委託者
(1) 課税事業者に該当するか消費税法上に照らし判定を行う。
(2) 課税事業者に該当した場合は、消費税課税事業者選択届出書を提出する。
(3) 納税地については外国法人が選択した場所が納税地となる。
(4) 納税管理人を選任し消費税納税管理人届出書を提出する。

2.受託者
(1) 受託者については、対象となる物品を保税地域から引き取った際に輸入消費税が課される。
(2) 委託者から収受する手数料については国内における資産の譲渡等に該当する(免税)。

By CAP & Tax Accountant, Koji Takahashi,
Tokyo & Yokohama