国外財産調書の提出制度

Posted on 19/12/2018 by Koji Takahashi

1.国外財産調書の提出制度

国外財産調書の提出制度は、適正な課税・徴収の確保を図る観点から、国外財産の所有者に対して、その所有する国外財産についての申告を義務づける制度です。

2.提出義務者

その年の12月31日において、その価額の合計額が5,000万円を超える国外財産を有する居住者(非永住者は除きます)は、翌年3月15日までに、所轄税務署長に国外財産調書を提出しなければなりません。国外財産調書には、その財産の種類、用途(一般用及び事業用の別)、所在、数量、価額その他必要な事項を記載し、国外財産調書に記載した財産の価額をその種類ごとに合計した金額を記載した国外財産調書合計表を添付する必要があります。

3.国外財産

国外財産とは、「国外にある財産」をいいます。国外にあるかどうかは、財産の種類に応じて、次の所在地が国外にあるかどうかで判定することになります。

①動産、不動産:その動産、不動産の所在地

②金融機関に対する預貯金等:その預貯金等の受入れをした営業所、事業所の所在地

③社債、株式:その社債、株式の発行法人の本店又は主たる事務所の所在地

ただし、金融商品取引業者等の営業所等に開設された口座に係る振替口座簿に記載等がされているものである場合は、その金融商品取引業者等の営業所等の所在地

4.国外財産の価額

国外財産の価額については、その年の12月31日における時価または時価に準ずる見積価額によることとされています。なお、国外財産調書への価額の記載は、邦貨(円)で行うことになりますので、取引金融機関が公表するその年の12月31日における最終の対顧客直物電信買相場(TTB)又はこれに準ずる相場によって、邦貨換算することになります。

5.加算税の取扱い

国外財産調書の提出がある場合には、記載された国外財産に関して生じる所得で一定のものに対する所得税等又は相続税の申告漏れが生じたときであっても、過小申告加算税、無申告加算税について5%減額されることになります。

一方、国外財産調書の提出がない場合や提出された国外財産調書に国外財産の記載がない場合(記載が不十分と認められる場合を含みます)には、その国外財産に関する所得税等の申告漏れが生じたときは、過小申告加算税、無申告加算税について5%加重されることになります。

なお、加算税の加重措置は、相続税及び死亡した人の所得税等については、適用がありません。

6.記載内容の誤りの修正

提出した国外財産調書の記載内容に誤りや記載漏れがあった場合には、提出期限内だけでなく、提出期限後であっても、再度提出することによって訂正することが可能です。その場合には、誤りや記載漏れのあった国外財産だけでなく、当初提出した国外財産調書に記載済みの国外財産を含め、全ての国外財産に記載する必要があります。