令和元年分民間給与 実態統計調査結果

Posted on 12/02/2021 by Koji Takahashi

国税庁の調査によれば、民間事業所に昨年1年を通じて勤務した給与所得者数が7年連続で過去最多を更新しています。一方で給与所得者1人当たりの年間平均給与は前年分と比べ4万3千円少ない436万4千円となっており7年ぶりの減少です。コロナ禍の現在と状況は激変していますが、昨年分の実績として分析してみます。

1.民間給与の動向

民間の給与所得者数は前年比1.3%(78万人)増の5990万人でした。給与の総額は前年比3.6%(8兆563億円)増の231兆6046億円でした。源泉徴収された所得税額は前年比0.7%(744億円)増の11兆1395億円でした。

2.1年通じて勤務した給与所得者

① 平均給与 全体の平均給与は前年比1%減の436万円でしたが、男女実績と正規・非正規の実績は次の様です。男性の平均給与は540万円で前年比1%減少しています。一方女性の平均給与は296万円で同0.8%増加しています。

正規は503万円と同微減でしたがアルバイトや派遣社員などの非正規は2.5%減の175万円となっています。

② 業種別の平均給与 最も高いのは電気・ガス・熱供給・水道業の前年比8.6%増の824万円、次いで金融業・保険業の前年比0.7%減の627万円でした。一方最も低かったのは、宿泊業、飲食サービス業で前年比3.6%増の260万円でした。

3.留意点

令和元年分の調査結果は、通常行っていた事業所への疑義照会や督促を実施しなかったことに伴い調査票の回収率が低下しています。

このため、大企業の回答率に比べ小規模事業者の回答割合が低かったため、大企業の数字に引っ張られた結果となっていることに留意しなければなりません。昭和24年分から始まり、今回が71回目に当たる調査でしたが、来年度の調査結果はさらなる不安要素が予測されます。